なぜあの家はいつまでも売れないのか?
売却できる方法を解説します

家の売却を考えている人は、近所の家が売りに出されていると、とても気になるものです。1年以上も売れない家があると、もし自分の家も同じように売れなかったらどうしようと不安に陥ったりもします。でも売れない家には理由があるのです。この記事では、家が売れない理由を明らかにしたうえで、その解決方法を解説します。

売れない家には理由がある

売れない家には必ず理由があります。その理由を理解しないと、スムーズな売却はできません。マイホームに同じような要因が潜んでいないかチェックしていきましょう。

前面道路が私道

敷地が接する道路を「前面道路」といいます。道路には役所が管理する「公道」と、個人が管理する「私道」があります。前面道路が私道の場合、いろいろと課題があるため売れない要因になります。

私道には所有者がいます。所有者は道路の管理責任があるので、道路が陥没したら自ら費用を投じて補修しなければいけません。放置しておくと、通行人が陥没箇所で転倒してけがをしたら、賠償責任が発生する可能性があります。

しかもやっかいなことに、私道の多くは近隣の住民と共有なので、費用負担の問題ひとつにしても、なかなか決定することができないのです。

さらに前面道路の所有者が、他人や業者だと、さらに問題は複雑です。道路下にある水道、ガスなどのインフラ配管がひび割れたり、切断したりした際に、道路の掘削が必要になっても、道路所有者の同意がなければ手をつけることができないのです。

私道はこうしたリスクを伴うため、購入を躊躇う人がいます。

前面道路が狭い

建築基準法では、道路の幅員は4m以上としています。このため「2項道路」と呼ばれる道路以外は、少なくとも4m以上は確保されています。

しかし幅員が4mぎりぎりだと、普通自動車がなんとかすれ違うことのできる程度の広さであるため、宅配便の車両が通行したり、庭の樹木が道路にせり出したりしているだけで、車同士の離合が困難になります。

不法駐車が日常的な状態だと、さらに生活が困難になるため、購入を躊躇う人がいます。

近くに新築物件がある

近くに新築物件が売り出されていると、どうしても価格の比較になってしまいます。新築物件と価格に差がなければ、多少無理をしてでも新築物件を購入しようと考えるのが、一般的な人の心理です。

近くにトラブルメーカーがいる

現在の不動産販売では、近隣に常軌を逸した行動をする人物がいる場合、重要事項説明でその事実を告げないと、契約不適合として契約解除になる可能性があります。このため売却に際しては、ありのままに伝えるのですが、近所にトラブルメーカーが存在しているのを承知で、物件を購入する人はなかなか現れません。

背後が崖地である

近年多発する災害を目の当たりにすると、誰しも安全な土地に住みたいと願うものです。一般的な土質の崖は、30度の角度が最も安定した角度です。このため万が一土砂崩れをしたら、少なくとも高さの2倍以上は離れた場所に建っていないとリスクが高い土地になります。

隣棟間隔が狭い建売住宅

隣家と空き寸法がほとんどない建売住宅は、外壁の美装や補修が困難なため敬遠されます。外壁の補修は、外部足場を立てる必要がありますが、隣地を借りて足場を立てなければいけない状況だと、人間関係の構築が絡んできます。

将来の外壁メンテナンスが、自己敷地で完結できない物件は、建物の維持管理が困難なため敬遠されます。

検査済証を取得していない

住宅ローンの融資には、対象建物の適法性が求められます。このため違法性を証明できない物件には、ほとんどの銀行が住宅ローンを融資してくれません。

適法であることを証明するためには、検査済証を提示する必要があります。紛失しても、管轄の行政機関で証明書を発行してもらえるため、完了検査に合格した物件であれば、必ず入手できる書類です。

適法性を証明できない家は、住宅ローンを融資してくれる銀行が見つからないため、購入したい人でも最終的に断念することがあります。

売却価格が適正でない

不動産の売却価格は自由に設定できますが、相場からあまりにもかけ離れた価格だと購入をする人はいません。中には購入した金額以上の価格で売却することにこだわる人もいますが、やはり相場に近い価格で売り出さないと、売却は困難です。

住宅は売れ残れば売れ残るほど、ますます購入希望者が敬遠する悪循環に陥ります。このため売り出し時に設定する価格は適正な価格に設定しないと不利益を被ります。

家がなかなか売れないときはどうすればいいのか

家が売れない理由が分かったところで、次にどのような工夫をすれば、家を売ることができるのかを考えていきましょう。

家の中を整理整頓する

不動産業者の査定の際は、家の美醜は査定ポイントにならないので、あまり気にする必要はありませんが、内覧してくる人たちの目は厳格です。

購入希望者はイメージで判断するため、特にキッチンやバス、トイレなどの水回りは、専門のハウスクリーニング業者に依頼して、内部を美装してもらった方がいいでしょう。

また室内の広さを印象付けるために、室内の不要な家具、物品はできる限り処分しておきましょう。特に第一印象が重要ですから、玄関ホールにはできる限り物品は置かないようにしましょう。

購入先行型で売却活動をする

購入先行型とは、家の売却が決定する前に購入の段取りを進める方法です。たとえば建売住宅を購入して、新居に引越しをしてから、家を売り出すことにします。そのため売却する家は、中にまったく物品がない状態で売り出すことができます。

家の中に家具や荷物がないと、ハウスクリーニングを効率よく丁寧に行うことができます。購入規模者側も、広々とした室内だと好印象を抱きます。また隠れた瑕疵があるのではという不安が解消できるので、安心して購入することができます。

買取専門の不動産会社に購入してもらう

家の売却は、不動産会社に仲介してもらうのが一般的ですが、買取専門の不動産会社に買い取ってもらう方法もあります。

買取専門の会社は、リフォームして売り出すことを前提にしているため、外壁やクロスの汚れは査定のポイントにはなりません。

また隠れた瑕疵が気になる場合も、宅建業を営む不動産会社であれば、購入後に契約不適合を問われることは一切ありませんから、安心して売却することが可能です。

あまり室内を掃除する余裕がなく内覧をしてもらうのが難しい、あるいは隠れた瑕疵があるかもしれないと不安を抱いている人は、買取専門の会社に依頼することで悩みが解消されます。

まとめ

家が売れない理由は、今回記事で取り上げた理由だけでは収まりません。「日当たりが悪い」「二世帯住宅である」など様々な理由があります。

また長期間売却できない家は、何か問題があるのではないかと疑念を抱かれるようになります。そのため、売却活動を始めた時点で適正な価格で売り出すという事は非常に重要です。相場よりも高い価格で売り出して、結局は相場より安く売却したという事例はけっして珍しくないのです。

課題が山積で仲介による売り出しにためらいがあるのであれば、買取専門の会社に依頼してみてはいかがでしょうか。売却資金が早く手に入るのも大きな利点です。家の売却を思い立ったら、ぜひ選択肢の一つに加えておいてください。